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シラキトビナナフシのライフサイクルについて
シラキトビナナフシのライフサイクルを考える上で、その生息環境も含めて考えていきたいと思います。具体的には、不完全変態のサイクルと、シラキトビナナフシの食樹の一つであるミズナラの様子、ミズナラ林の林床や林内の様子、気温や降水量、積雪量などシラキトビナナフシを取り巻く諸条件を含めて考察していきます。
以下の表は、2007年8月下旬から2008年12月まででわかっている事柄を記録したものになっています。
2007年8月
最高気温:24.2℃ 最低気温:17.5℃ 平均気温:20.9℃ 降水量:179㎜
中旬 状態:成虫/卵
2007年8月26日に初めてシラキトビナナフシを発見する
成虫が林内の下草の上に数十匹見られる
シラキトビナナフシ - |
ミズナラの様子 - |
林内・林床の様子 - |
2007年9月
最高気温:21.0℃ 最低気温:12.6℃ 平均気温:16.8℃ 降水量:175㎜
上旬 状態:成虫/卵
下草の上で見つける数が減ってくる
シラキトビナナフシ |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 - |
中旬 状態:成虫/卵
下草の上で見つけることが難しくなり、時間をかけて探してようやく見つかる程度となる
シラキトビナナフシ |
ミズナラの様子 - |
林内・林床の様子 - |
下旬 状態:成虫/卵
ミズナラやコナラの樹上で長時間探してようやく見つけれる程度となる
シラキトビナナフシ |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
2007年10月
最高気温:15.5℃ 最低気温:6.3℃ 平均気温:10.9℃ 降水量:126㎜
上旬 状態:成虫?/卵
いくら探しても見つけることが出来なくなる
シラキトビナナフシ 成虫の姿は見られなくなる |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 紅葉が進み始めます |
中旬 状態:卵
成虫はまったく見つからず、長時間探して卵を1個見つけれる
シラキトビナナフシ |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
下旬 状態:卵
ほとんどの葉が枯れてしまい成虫はまったくいなくなる
シラキトビナナフシ |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
2007年11月
最高気温:8.4℃ 最低気温:0.8℃ 平均気温:4.6℃ 降水量:117㎜
上旬 状態:卵
落葉の下で卵が眠っている
シラキトビナナフシ - |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
中旬 状態:卵
落葉の下で卵が眠っている
シラキトビナナフシ 飼育下の最後のシラキトビナナフシが死亡 |
ミズナラの様子 枯葉が落ちずについています |
林内・林床の様子 雪が降り始めます |
下旬 状態:卵
積雪の下で卵が眠っている(積雪下の温度は0℃)
シラキトビナナフシ - |
ミズナラの様子 枯葉が落ちずについています |
林内・林床の様子 |
2007年12月
最高気温:2.3℃ 最低気温:-4.3℃ 平均気温:-1.0℃ 降水量:100㎜ 積雪深:31㎝
上旬 状態:卵
積雪の下で卵が眠っている(積雪下の温度は0℃)
シラキトビナナフシ - |
ミズナラの様子 枯葉が落ちずについています |
林内・林床の様子 雪に閉ざされています |
中旬 状態:卵
積雪の下で卵が眠っている(積雪下の温度は0℃)
シラキトビナナフシ - |
ミズナラの様子 枯葉が落ちずについています |
林内・林床の様子 雪に閉ざされています |
下旬 状態:卵
積雪の下で卵が眠っている(積雪下の温度は0℃)
シラキトビナナフシ - |
ミズナラの様子 枯葉が落ちずについています |
林内・林床の様子 雪に閉ざされています |
2008年1月
最高気温:-4.0℃ 最低気温:-7.1℃ 平均気温:-3.8℃ 降水量:94㎜ 積雪深:67㎝
上旬 状態:卵
積雪の下で卵が眠っている(積雪下の温度は0℃)
シラキトビナナフシ - |
ミズナラの様子 枯葉が落ちずについています |
林内・林床の様子 |
中旬 状態:卵
積雪の下で卵が眠っている(積雪下の温度は0℃)
シラキトビナナフシ - |
ミズナラの様子 枯葉が落ちずについています |
林内・林床の様子 雪に閉ざされています |
下旬 状態:卵
積雪の下で卵が眠っている(積雪下の温度は0℃)
シラキトビナナフシ - |
ミズナラの様子 枯葉が落ちずについています |
林内・林床の様子 雪に閉ざされています |
2008年2月
最高気温:-2.0℃ 最低気温:-7.0℃ 平均気温:-3.6℃ 降水量:85㎜ 積雪深:87㎝
上旬 状態:卵
積雪の下で卵が眠っている(積雪下の温度は0℃)
シラキトビナナフシ - |
ミズナラの様子 枯葉が落ちずについています |
林内・林床の様子 雪に閉ざされています |
中旬 状態:卵
積雪の下で卵が眠っている(積雪下の温度は0℃)
シラキトビナナフシ - |
ミズナラの様子 枯葉が落ちずについています |
林内・林床の様子 雪に閉ざされています |
下旬 状態:卵
積雪の下で卵が眠っている(積雪下の温度は0℃)
シラキトビナナフシ - |
ミズナラの様子 枯葉が落ちずについています |
林内・林床の様子 雪に閉ざされています |
2008年3月
最高気温:3.7℃ 最低気温:-3.4℃ 平均気温:2.0℃ 降水量:71㎜ 積雪深:71㎝
上旬 状態:卵
積雪の下で卵が眠っている(積雪下の温度は0℃)
シラキトビナナフシ - |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
中旬 状態:卵
積雪の下で卵が眠っている(積雪下の温度は0℃)
シラキトビナナフシ (テントウムシ、カメムシなどが越冬から目覚め始める) |
ミズナラの様子 冬芽はまだ膨らんでいません |
林内・林床の様子 急激に雪が融け始めます |
下旬 状態:卵
積雪の下で卵が眠っている(積雪下の温度は0℃)
シラキトビナナフシ (アリ、テントウムシ、カメムシ、タテハチョウなどが見られる。) ( カエルも冬眠から覚めて池に集まっている) |
ミズナラの様子 冬芽はまだ膨らんでいません |
林内・林床の様子 |
2008年4月
最高気温:9.9℃ 最低気温:1.9℃ 平均気温:5.9℃ 降水量:85㎜ 積雪深:-㎝
上旬 状態:卵
積雪の下で卵が眠っている(積雪下の温度は0℃)
シラキトビナナフシ (アメンボ、ハムシなどが見られる) (土の中ではミミズも活動を始めている) |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
中旬 状態:卵
下草の芽生えた林床の中で卵は眠っている
シラキトビナナフシ (キアゲハ・スジグロチョウ・ハチ・) (ハサミムシなどが見られ、活発に活動している。) |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
下旬 状態:卵
下草の芽生えた林床の中で卵は眠っている
シラキトビナナフシ - |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
2008年5月
最高気温:15.7℃ 最低気温:7.2℃ 平均気温:11.5℃ 降水量:117㎜ 積雪深:-㎝
上旬 状態:卵
下草の芽生えた林床の中で卵は眠っている
シラキトビナナフシ (ミズナラの若葉がついているが、 シラキトビナナフシの幼虫は見られない) |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
中旬 状態:卵
下草の芽生えた林床の中で卵は眠っている
シラキトビナナフシ (ミズナラ・コナラともに若葉が生い茂ってきたが、 シラキトビナナフシの幼虫は見られない) |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
下旬 状態:卵/孵化?
下草の芽生えた林床の中で卵は眠っている。 孵化が始まっている可能性がある?
シラキトビナナフシ (ミズナラ・コナラともに若葉が完全に生い茂ってきたが、 シラキトビナナフシの幼虫は見られない) |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
2008年6月
最高気温:18.7℃ 最低気温:10.6℃ 平均気温:14.7℃ 降水量:125㎜ 積雪深:-㎝
2008年7月
最高気温:22.6℃ 最低気温:15.5℃ 平均気温:19.1℃ 降水量:131㎜ 積雪深:-㎝
上旬 状態:3令/4令幼虫
7月1日・5日に2令幼虫を採集。7月5日・6日には3令幼虫を採集。7月9日には4令幼虫を採集。
シラキトビナナフシ |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
中旬 状態:4令/5令幼虫
飼育中の個体はほとんど5令幼虫に脱皮している。7月20日に4令幼虫と5令幼虫を採集。
シラキトビナナフシ |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
下旬 状態:5令/6令幼虫
飼育中の個体はほとんど6令幼虫に脱皮している。7月26日に5令幼虫と6令幼虫を採集。
シラキトビナナフシ |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
2008年8月
最高気温:24.2℃ 最低気温:17.5℃ 平均気温:20.9℃ 降水量:179㎜ 積雪深:-㎝
上旬 状態:6令幼虫/成虫?
飼育中の個体の半分は成虫に羽化している。1日に1頭、6日に6頭、9日に1頭、10日に4頭の6令幼虫を採集。
シラキトビナナフシ |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
中旬 状態:6令幼虫/成虫
8月12日に成虫を3頭発見する。6令幼虫の3頭も背面に赤紫色が浮き出ており羽化間じかの個体が多い。
シラキトビナナフシ |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
下旬 状態:成虫/卵
8月23日と26日に成虫をそれぞれ3頭ずつ発見する。8月30日には成虫を11頭発見する。
シラキトビナナフシ |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
2008年9月
最高気温:21.0℃ 最低気温:12.6℃ 平均気温:16.8℃ 降水量:175㎜ 積雪深:-㎝
上旬 状態:成虫/卵
9月1日、2日、3日、5日、7日のいずれも成虫を発見する。同じ個体が同じ場所で産卵をしている。
シラキトビナナフシ |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
中旬 状態:成虫/卵
10日、14日、15日に成虫を発見する。9月上旬に見つけたのと同じ個体が見られる。だんだんと見られる数が減っていく。
シラキトビナナフシ |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
下旬 状態:成虫/卵
20日と28日には、地上で死んだばかりの個体を発見する。20日に1頭、23日に2頭の成虫を確認しただけで、ほとんど見ることが出来なくなってくる。
シラキトビナナフシ |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
2008年10月
最高気温:15.5℃ 最低気温:6.3℃ 平均気温:10.9℃ 降水量:126㎜ 積雪深:-㎝
上旬 状態:成虫/卵
まったくシラキの姿を見ることが出来なくなっているが、9月28日に成虫の死んだばかりの個体があったことを考えると、少ないが成虫は生存していると思われる。
シラキトビナナフシ |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
中旬 状態:成虫/卵
12日と18日に、地上で成虫を発見する。野外で、シラキの卵を発見する。(計4個)
シラキトビナナフシ |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
下旬 状態:卵
ほとんどのミズナラ・コナラの葉が、枯れたり黄葉しているので、シラキの成虫を見ることはできなくなっている。
シラキトビナナフシ 野外でシラキトビナナフシの成虫を見ることが出来ない。 飼育下の成虫も20数頭いたものが2頭だけとなってしまった。 |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
2008年11月
最高気温:8.4℃ 最低気温:0.8℃ 平均気温:4.6℃ 降水量:117㎜ 積雪深:-㎝
上旬 状態:卵
ほとんどのミズナラ・コナラの葉が枯れたり黄葉しているので、シラキの成虫を見ることはできなくなっている。
シラキトビナナフシ 野外でシラキトビナナフシの成虫を見ることが出来ない。 |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
中旬 状態:卵
葉の枯れ具合から、シラキトビナナフシが生存している可能性はほとんどないと思われる。
シラキトビナナフシ 飼育中の個体 |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
下旬 状態:卵
積雪の下で卵が眠っている。(積雪下の温度は0℃)
シラキトビナナフシ 飼育中の最後の個体が 20日に死亡した。 |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
2008年12月
最高気温:2.3℃ 最低気温:-4.3℃ 平均気温:-1.0℃ 降水量:100㎜ 積雪深:31㎝
上旬 状態:卵
積雪の下で卵が眠っている。(積雪下の温度は0℃)
シラキトビナナフシ - |
ミズナラの様子 |
林内・林床の様子 |
中旬 状態:卵
積雪の下で卵が眠っている。(積雪下の温度は0℃)
シラキトビナナフシ - |
ミズナラの様子 冬芽だけです |
林内・林床の様子 |
下旬 状態:卵
積雪の下で卵が眠っている。(積雪下の温度は0℃)
シラキトビナナフシ - |
ミズナラの様子 冬芽だけです |
林内・林床の様子 雪に閉ざされています |
2008年 年間
最高気温の平均:11.8℃ 最低気温の平均:4.2℃ 平均気温の平均:8.0℃ 年間降水量:1405㎜
備考
- 1 気温は、各月の上段が最高気温、中段が最低気温、下段が平均気温です。
- 2 降水量は、各月の上段が降水量、中段が最深積雪量です。
- 上記の1と2のデータは「国土交通省 国土計画局 総務課 国土情報整備室作成の気候値メッシュデータ」を利用しています。
- この観察場所のメッシュコードは62406611です。
- 3 この場所の植生は、環境省自然環境局生物多様性センターの自然環境保全基礎調査(第5回植生調査3次メッシュ植生データ)によりますと、ブナ-ミズナラ群落となっています。
2008年3月28日 記録
(追記:2008年4月6日・4月20日・5月3日・5月15日・5月28日・6月3日・6月15日・7月16日)
(追記:2008年7月31日)6月と7月の記述を一部修正
(追記:2008年5月28日)メッシュコード修正・気候値修正
(追記:2008年8月9日・8月12日・8月30日・9月7日・10月6日・10月13日・10月19日・11月1日・11月16日・11月25日・12月14日・12月28日)