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シラキトビナナフシの小窓(内部形態)

シラキトビナナフシの内部形態


このページではシラキトビナナフシの内部形態について調べて行きたいと思います。
色々な文献などを探してみてもシラキトビナナフシそのものについての内部形態について記されたものは見当たりません。
生き物の解剖は一度もやったことがないので、今回が初めてになります。詳しい解剖のやり方もわからずにやってみました。

解剖したシラキトビナナフシは2頭ですが、いずれも死亡したものを使用しました。
1頭目は、2008年10月12日に野外で腹部を損傷して卵がはみ出していた個体です。(シラキ110号)
2頭目は、2008年6月26日に野外で3令採集し、10月18日まで飼育していた個体です。(シラキ7号)


シラキトビナナフシの消化器系

 シラキトビナナフシの消化管は、体型と同じく真直ぐに伸びていて、曲がったりしていません。

 前腸は、咽頭から咽喉・食道を通って長くて太い”そ嚢”までになります。
 中腸は、細長くマルピギー氏管の部分まで続きます。
 後腸は、短くて回腸・結腸・直腸から出来ています。

 唾液腺は良く発達していて、前胸から中胸の後方部まで伸びています。左右両側に2葉の部分から出来ています。

 そ嚢は中胸から後胸の中ほどまで伸びていて、かなりの太さがあります。食物を取り入れているときは緑色をしています。
シラキトビナナフシの全体図
唾液腺 そ嚢
 そ嚢から続く中腸は、前部が膨らんで幅広く、後部は狭くなっています。

 中腸と後腸の境界部(第5腹節と第6腹節の境)には、排泄物排出のためのマルピギー氏管があります。マルピギー氏管は、多数の束になっていて、2種類の管があります。一つは、頭方を向いている管で、もう一つは、腹端方へ向いている管です。

 中腸の後部には、ナナフシ目に特有な消化酵素を分泌する付属腺があるそうですが、確認することが出来ませんでした。
中腸
マルピギー氏管 マルピギー氏管


シラキトビナナフシの気管系

 シラキトビナナフシの気管系は10の気門対で外界と連絡をしています。
 この気門は、中胸と後胸及び第1節から第8節までの各体節に1対ずつあります。

 気管は気管小枝として分岐しています。この細く枝分かれした気管小枝は体の中にネットワークのように張り巡らされています。
 それぞれの気管はお互いに縦に連絡し合ってもいるようです。
 気門のない頭部と前胸には中胸からの気管が伸びています。
気管の様子
気管の様子 気管の様子


シラキトビナナフシの内部生殖器系(メス)

 シラキトビナナフシには、左右1対の卵巣があります。この卵巣は第3腹部節から第6腹部節の間にあり、無栄養型卵巣小管から出来ています。

 これらの卵巣小管は、共通の膜で包まれていません。それぞれの卵巣小管は長い端糸を持っています。

 卵巣小管は、単独でそれぞれの側の側輸卵管につながっていて、第7腹部節の後の方で短い総輸卵管に合わさり、第8腹部腹板後方で開口します。
卵の配置
 卵巣小管の中の卵は、大小さまざまなものが見られます。

 小さいものは透明なクリーム色をしていますが、大きくなるにつれて灰色になってきます。
 また、シラキトビナナフシの卵の網目模様も早い段階から見ることが出来ます。
 ほとんどの卵は、蓋の部分を後方に向けて規則正しく並んでいます。
卵の配置

内部形態として、この他に神経系・内分泌系・循環器系・皮膚腺などがありますが調べることが出来ていません。


シラキトビナナフシの内部形態については、継続して調べて行きたいと思っています。



このページは次の文献を参考にしました。
書名 著者 発行所 発行年(初版)
昆虫の分類 素木得一 著 北隆館 昭和29年11月25日
基礎昆虫学 素木得一 著 北隆館 昭和39年2月20日
動物系統分類学 7(下B) 節足動物(Vb)昆虫類(中) 内田亨 監修 中山書店 1971年6月20日



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