アブラムシ
トドノネオオワタムシ クリオオアブラムシ
トドノネオオワタムシ Prociphilus oriens カメムシ目 腹吻亜目 アブラムシ上科 アブラムシ科
2007年10月27日 函館市
2007年10月27日 函館市 2007年10月21日 函館市
トドノネオオワタムシは、北海道では「雪虫」と呼ばれている虫です。この虫が空を舞い始めると、しばらくすると雪が降り始めると言われています。この虫は、トドマツの根とヤチダモの葉を住みかにして、季節ごとに住みかを変えています。「雪虫」は、トドマツからヤチダモに移るときの姿です。
トドノネオオワタムシの一生は、非常に興味深いものがあります。
@春にヤチダモの幹で卵から孵ります。このときはメスだけが生まれ、「幹母」と呼ばれます。ヤチダモの芽の 付近に住み「子虫」をたくさん産みます。
Aこの「子虫」は、初夏の頃に翅を持った成虫になり、トドマツへ飛び立ちます。トドマツにたどり着くと、「子虫 」を産み、この「子虫」はトドマツの根に寄生し、数世代の単為生殖を繰り返します。
B紅葉の時期になると、トドマツの地中で有翅の成虫が現われ、「雪虫」となってヤチダモの木を目指して飛 び立ちます。この「雪虫」には、オスとメスがいて、交尾の後で卵をヤチダモの木に産み付けます。
『日本動物大百科 8昆虫T』(アブラムシ類)を参考にさせていただきました。
「雪虫」のトドマツからヤチダモへの移動を確認
2007年11月4日、「雪虫」(トドノネオオワタムシ)のトドマツからヤチダモへ移動している様子を確認しました。ヤチダモの木に集まる「雪虫」たち
「雪虫」が産卵するヤチダモの木 樹皮上のコケの中の雪虫
樹皮のくぼみの中の「雪虫」 樹皮の裂け目の中の「雪虫」たち
飛んできたばかりの「雪虫」 樹皮の裂け目に入って行く「雪虫」トドマツの根部から出て飛び立つ「雪虫」たち
「雪虫」の発生するトドマツの木 トドマツの根部の地面にいる「雪虫」
トドマツの根の近くから飛び立つ準備をしている「雪虫」たち
ヤチダモの樹皮の裂け目で「アブラムシ」を確認
2008年5月5日、「雪虫」(トドノネオオワタムシ)が入り込んでいたヤチダモの樹皮の裂け目に「アブラムシ」らしきものを発見する。
ヤチダモの樹皮の裂け目に、3ミリほどのアブラムシらしきものがいました。
この場所は冬に雪虫が入り込んでいた場所なので、卵で越冬したトドノネオオワタムシの第1世代雌幼虫と思われます。
雪虫の白い綿毛(蝋物質)と同じようなものを体中に付けています。
アカヤマアリがアブラムシの周りを歩き回っています。
| クリオオアブラムシ |
![]() ![]() ミズナラの幹から吸汁 アリとの共生 2007年11月2日 函館市 |
![]() ![]() クリオオアブラムシのコロニー アリが作ったシェルター 2007年11月2日 函館市 |
| クリオオアブラムシは、クリやクヌギ・コナラ・ミズナラなどに集団で寄生して樹液を吸います。春から晩秋まで発生し新梢や若枝に寄生して樹液を吸うため、苗木などでは被害がでることがあります。 @越冬卵が、春に孵化し、新梢や枝から樹液を吸って無翅のメス成虫になります。 A5月頃には、有翅のメス成虫も発生し、他のクリやミズナラに移動し繁殖を繰り返します。 B10月頃になると、メスとオスが現われ、越冬卵を幹や主枝に群がって産卵します。 一段目の右側の写真に、アリとの共生が見られます。アブラムシは樹液を吸いますが、この樹液には糖分が多く、アミノ酸が乏しくなっているそうです。アミノ酸を十分に取ろうとすると糖分が余計に取らさることになります。この余分な糖分が水分とともに排泄されます。この排泄物は、「甘露」と呼ばれ、アリを呼びます。アリは甘露を手に入れ、アブラムシは外敵から守られ、身の回りが清潔に保たれます。 |
| HP「島根県農業技術センター・病害虫データベース」(クリオオアブラムシ)と 『日本動物大百科 8昆虫T』(アブラムシ類)を参考にさせていただきました。 |
| クリオオアブラムシのオス成虫と交尾 2007年11月4日、函館市郊外のミズナラの木で有翅のオス成虫を発見しました。 |
![]() ![]() クリオオアブラムシの有翅オス成虫 メスと比べるとかなり小さい |
![]() ![]() クリオオアブラムシの交尾 クリオオアブラムシのオス幼虫? |
樹高3メートルほどのミズナラの幹に見られたクリオオアブラムシのコロニーです。大きなメス成虫と小さなメス幼虫が混ざっていました。卵はまだ産んでいないようです。かなりの数の集団にもかかわらず、オスは有翅成虫が1頭と幼虫が1頭しか見つけることが出来ませんでした。 オスは、交尾が終わるとすぐに移動を始めてしまいました。交尾の時間は1分足らずで終わってしまいました。 |
クリオオアブラムシの越冬卵 2007年11月23日、函館市郊外のミズナラの木でクリオオアブラムシの越冬卵の塊を発見しました。 |
![]() ミズナラの幹の地上50cm前後の東向き部分に、クリオオアブラムシの越冬卵の塊がありました。 長さ30cm、幅15cm位の大きな塊を作っています。2000個以上の卵があると思われます。 さらに、この木の3m位の幹の部分にも越冬卵の小さな塊が見られました。 |
![]() ![]() 越冬卵は米の半分くらいの大きさで黒光りしている 成虫の足が残されています。 上記3枚の写真は、今回新たに発見したミズナラの木で、すでに成虫は1頭もいませんでした。 |
![]() ミズナラの幹(南向き)の地上50cmくらいのメス成虫と越冬卵の小塊 ここ2・3日の降雪(20cm位)と低温(氷点下5.7度)にもかかわらず、まだ動いている成虫がいました。 しかし、成虫の数は以前よりかなり減っており、死んでいる成虫も多数見られました。 この成虫は、今まで観察してきたミズナラの木のものです。 |
クリオオアブラムシの越冬卵の巨大な塊 2007年11月25日、クリオオアブラムシの越冬卵の巨大な塊を新たに発見しました。 |
![]() ![]() 今までより更に巨大な越冬卵の塊です。成虫の死骸がたくさん張り付いていました。 赤い卵もたくさんあり、氷点下の気温の中生き延びていた成虫が、ここ2・3日の暖かさの中で生んだばかりと思います。 木の種類はよくわかりませんでしたが、ミズナラの木のすぐ隣に生えていました。 卵の塊は、今までのものと同じく、地上50cm位のところにありました。 |
![]() ![]() まだ動いている成虫もいて、越冬卵を産んだばかりと思われます。 クリオオアブラムシの越冬卵は、生んだばかりの時は「赤い色」をしています。時間とともに「黒い色」に変わっていきます。 |
![]() ![]() この2枚の写真は、一番初めに見つけたミズナラの木の越冬卵です。 一昨日(2007年11月23日)までは、成虫が動いていましたが、赤い卵はありませんでした。 昨日と今日の暖かさで、卵を産んだばかりと思われます。 |
クリオオアブラムシの越冬卵のその後1 2008年3月23日、雪もなくなりエゾアカガエルが出てきた時期の巨大な越冬卵の様子です。 |
![]() ![]() 厳しい冬を越えた巨大越冬卵の中に赤い卵がいくつか見られます。 函館の気温は、日平均が1月マイナス3.8度、2月マイナス2.4度、 最低気温が1月マイナス12.4度、2月マイナス11.0度とかなり厳しいものでした。 この塊は真冬の間中雪に埋もれることはなかったので、この気温にさらされていたことになります 中にはつぶれている卵も見られます。 |
クリオオアブラムシの越冬卵のその後2 2008年3月28日、エゾアカガエルが産卵を始めた時期の巨大越冬卵の全体の様子です。 |
![]() ![]() 1番上の部分 上から2番目の部分 ![]() ![]() 上から3番目の部分 一番下の部分 まだ孵化している様子はありません。 |
![]() ![]() 越冬卵の中にはつぶれたものが結構見られます。また、赤い卵と黄色い卵が見られますが良くわかりません。 黄色いものは、中が透けています。今まで一度も見たことはありません。 右の画像のような赤いダニが這い回っていて、時々卵の上に止まったりしていました。 |
クリオオアブラムシの孵化 2008年4月5日、巨大な越冬卵の一部で孵化が始まっていました。 |
![]() ![]() 巨大越冬卵の一部が盛り上がっていました。良く見ると孵化が始まっていました。 出てきた幼虫は、動かずにじっとかたまっていました。 幼虫は黒い卵から出てきています。 赤い卵と黄色い卵は変化がありません。 |
クリオオアブラムシとエゾアカヤマアリ 2008年4月20日、越冬卵の半数以上が孵化し終えていました。幼虫のそばにはエゾアカヤマアリが集まっています。 |
![]() ![]() ![]() ![]() 巨大越冬卵の塊の半数以上は孵化が終わっていました。 幼虫もかなりの数がいなくなっており、木のほかの場所へ移動したと思われます。 塊の幼虫のいる辺りに、多数のエゾアカヤマアリがたかっていました。 エゾアカヤマアリは、幼虫を食べているのではないようです。このアリとアブラムシは共生関係にあると思われます。 息を吹きかけてみるとアリたちはいっせいに頭を持ち上げて威嚇してきました。 |