函館市においては、シラキトビナナフシの孵化は、エサであるブナ科植物の葉が完全に開いた、5月下旬から6月中旬にかけて行われます。 ただし、室内で保管した越冬卵の場合は、温度の関係からか孵化時期が早まる傾向があり、我家では、4月上旬から孵化が始まりました。また、場合によっては1月頃に孵化することもあります。(知り合いの方の情報) シラキトビナナフシは、現在までオスが発見されておらず、メスだけでの単為生殖です。 前年の8月中旬から秋にかけて産み落とされた卵は、氷点下10度以下になる野外で越冬しますが、積雪の影響でおそらく0度前後の環境で厳しい冬を越えていると思われます。 産み落とされた卵は、卵殻に守られた卵膜の中で冬までに一定のステージまで胚が発生していると思われます。その後、越冬状態に入り、気温の上昇とともに休眠が破られ、卵についている蓋(卵蓋)を開けて外界に出てきます。 (卵期における胚の発生や休眠が破られる条件については、詳しく調べていないので良くわかっていません。) |
このページでは、2009年のシラキトビナナフシの孵化について説明します。 |
シラキトビナナフシの卵には卵蓋があり、卵殻と卵蓋の境には自切線があります。(左画像) 孵化の時は、ちょうどこの自切線の部分から卵蓋がマンホールの蓋のように開いて幼虫が出てきます。(右画像) 幼虫は、頭部を腹側に曲げた状態で前胸で卵蓋を押し開けて出てきます。おそらく卵蓋側に頭部が形成されなかった場合、孵化はできないで終わるものと思われます。(詳しく発生段階を調べていないので何とも言えませんが) 孵化後の卵殻を見ると、中に白いものが見えます。おそらく、胚を取り巻いていた卵膜だと思われます。(中画像) |
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シラキトビナナフシの卵の構造 | 孵化後の卵殻の状態 | 孵化時の卵の状態 |
@シラキトビナナフシの孵化の記録 | ||
今回孵化してきている卵は、2008年の8月中旬から産み落とされたものです。 親ごとに保管してきたもので、保管場所は北向きの室内階段の窓枠です。 詳しい孵化の記録については、こちらを参考にしてください。 ↓ シラキトビナナフシの野外観察・飼育記録 bT (シラキトビナナフシの孵化) シラキトビナナフシの越冬卵の孵化に成功(2008年の越冬卵) 2008年のシラキトビナナフシの保管卵の状況と孵化の状況 |
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Aシラキトビナナフシの孵化の経過 | ||
シラキトビナナフシの孵化は、卵蓋が開いてから約10分位で幼虫が卵殻から脱出して終わります。 @幼虫は、必ず前胸部分から卵蓋を押し開けて出てきます。 Aその後は、体を前後に揺すりながらくねくねと伸びながら体を出してきます。 B触角と各肢は、腹端が出てからも殻の中に残っていて、特に後肢は最後まで抜けずに残っています。 C前肢と中肢が抜けた段階で、すぐに歩き出し、後肢が抜けていなくても卵殻を引きずりながら歩き回ります。 D脱皮の場合は、殻から抜けた段階で静止していますが、孵化の場合は静止する機会はありません。肢に卵殻がついていても、ほとんどが歩き回っているうちに無事に取れています。万が一、肢が取れたとしても脱皮のときに再生してくるので心配ありません。今までの観察では、全て卵殻は取れています。 |
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卵蓋を開けた状態 頭部を腹側にくの字に曲げている |
左から約4分後 腹端が出てくる直前 |
さらに左から約4分後 卵殻を後肢につけたまま歩きだす |
Bシラキトビナナフシの孵化の様子 | ||
次の画像は、2008年にシラキ9号の生んだ卵の孵化の様子です。 2009年4月23日の午前0時過ぎの孵化の状況で、同時に4頭(A・B・C・D)の孵化が始まっているところです。 |
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Cシラキトビナナフシの孵化の詳細 | ||
上の画像のA・B・C・Dのそれぞれの個体についての孵化の詳細を経過を追って画像で説明します。 次のそれぞれの画像をクリックすると詳細経過が見れます。(準備中) |
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クリック ↓ | クリック ↓ | クリック ↓ |
AとBの孵化の詳細 | Cの孵化の詳細 | Dの孵化の詳細 |
現在準備中です | |
2009年4月24日 記述 |
シラキトビナナフシの孵化については、継続して調べて行きたいと思っています。
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