ナナフシの森

-シラキトビナナフシの窓-

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シラキトビナナフシの観察 産卵

シラキトビナナフシの産卵について

 シラキトビナナフシは、メスだけで卵を産むことが出来る単為生殖を行って子孫を残しています。オスが存在するのかどうかは、まだオスが発見されたという報告がないので、現在不明のようです。

 卵は、ミズナラなどの樹上の葉や下草などから、地面に産み落とされます。落とされた卵は、落ち葉の下に埋まり、次の年まで眠りにつきます。

シラキトビナナフシの卵

 シラキトビナナフシの卵は、2mm×1mmくらいの俵型をしています。表面にはメロンのような網目模様があり、ふたがついています。網目模様は1周しているのではなく、豆のへそのようになっている部分があります。色は茶色・こげ茶色・灰色など様々です。

                      

シラキトビナナフシの小窓(卵)参照

 2007年10月7日、我家で飼育中のシラキトビナナフシが産卵するところをデジカメに収め、産卵口の様子や、卵の出てきかた、卵を産み落とす時の様子などを記録できました。



産卵口の様子
産卵口の様子
産卵口の様子
産卵口の様子

 卵が3分の2くらい産卵口から出ています。尾の部分から2節目の腹部に、卵を挟むように左右に三角形の突起物が見られます。飛行機の前輪を格納している部分のふたのようになっていて、卵を産まない時はふたをしています。さらに、この産卵口を尾の部分から3節目の腹部がカバーのように保護していると思われます。

産卵口の様子(腹部側)
産卵口の様子(腹部側)
産卵口の様子(腹部側)
産卵口の様子(腹部側)

 腹部側から見たところです。卵を左右の突起物が挟みこんでいる様子が見えます。また、卵のふたの方が先に出てきています。網目模様は、すでにはっきりと出来て出てきています。これだけ卵が出ていても、なかなか落ちません。

卵を産み落とす直前
シラキトビナナフシの産卵

 卵を産み落とす直前です。

卵を産み落とす直前
シラキトビナナフシの産卵

 尻尾を振ったり、葉っぱに卵をこすりつけたりしています。そうこうしているうちに、ぽろっと卵が下に落ちていきました。この間、20分くらいです。

 拡大した画像がフォトアルバムにあります。

(2007年10月8日記)

シラキトビナナフシの産卵 Part2

 2007年10月7日に続いて、10月8日にも産卵のシーンを撮影することができました。

 拡大した画像がフォトアルバムにあります。

シラキトビナナフシの産卵Part2-1
シラキトビナナフシの産卵Part2-1
シラキトビナナフシの産卵Part2-2
シラキトビナナフシの産卵Part2-2

 本日の産卵では、産卵口から出てくる卵の向きが昨日の逆になっていました。昨日は、卵のふたの部分が先に出てきましたが、本日は、卵の尻の部分が先になっていました。 このことから、卵の出てくる向きは特に決まっていないと考えられます。さらに、卵の側面に見られる豆のへそのようなものは、本日も最後まで見えませんでした。 また、産卵口を取り巻く部分には、産毛のようなものが生えており、産卵口を保護しているのではないかと思われます。

シラキトビナナフシの産卵Part2-3
シラキトビナナフシの産卵Part2-3

(2007年10月9日 追記)

卵にある豆のへそ

シラキトビナナフシの卵に見られる豆のへそは何か?(考察)

豆のへそ

 上記の産卵の画像を見ていると、シラキトビナナフシの卵に見られる「豆のへそ」のようなものが見えません。
たまたま偶然なのかどうか、今後、産卵の様子を何度も確認していくことが必要と思われます。現時点(2007年10月8日)では、素人考えの仮定として記述しておきたいと思います。

 シラキトビナナフシの卵の表面に見られる網目模様の切れている部分(豆のへそ)は、もしかすると、メスの体内で、メスの体とつながっている部分ではないかと考えられます。
 そして、この部分がメスの体内とつながっていることによって、卵が形作られる時に必要な栄養分や酸素などが供給されているのではないでしょうか?
 卵が産み落とされる時に、最終的に切り離されるのだと思います。そのため、産卵の画像で最後まで「豆のへそ」のようなものが見えないのではないかと考えられます。

(2007年10月8日 追記)

 

 2007年10月7日の画像でも、10月8日の画像でも、卵に見られる「豆のへそ」のようなものは、産卵の最後まで見えませんでした。現在、たったの2例での仮定ですので、今後さらに検討していきたいと考えています。

 この「豆のへそ」のようなものは、シラキトビナナフシが単為生殖を行っていることと関係があるのかもしれません。他の方のホームページで、ニホントビナナフシの卵の画像を見ましたら、同じような「豆のへそ」がついていました。
「豆のへそ」と単為生殖の関係についても、今後調べていきたいと考えています。

(2007年10月9日 追記)

 素人考えは、恐ろしいものです。10月8日と9日に記述した内容が、どうも見当違いをしていたようです。

 「ブナ林のクワガタたち」で有名な林原先生のご指摘によると、「豆のへそ」のようなものの正体は次の通りでした。林原先生の記述を引用させていただきます。

  • ナナフシの卵は種類によって形の差はありますが、基本構造は同一です。
  • 蓋のように見える部分は、実際に孵化時に蓋が開いて幼虫が脱出する「卵蓋」。
  • 側面に1箇所ある窪みの部分は両性生殖する際に精子の侵入孔となる「精孔板」と「精孔」です。
 Insects BBS of Hokkaido 北海道・昆虫情報交換(投稿日:2007年10月 9日)より引用
シラキトビナナフシの卵の構造
シラキトビナナフシの卵の構造
(林原先生の画像をもとに作成)

 卵の構造とその役割がわかったところで、新たな疑問が出てきました。メスだけで単為生殖で卵を産み続けているのに、両性生殖のための「精孔板」と「精孔」が備わっているということは、どこかにオスが存在するということでしょうか?オスを見つけて見たいものです。

(2007年10月10日追記)

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